という本。
こちらの方がとてもうまくまとめているので、私が語ることは多くない。
インディーゲーム開発界隈でちょっと話題になったこの記事と本だが、しっかり私にも刺さってしまった。
1年以内に終わると思ったプロジェクトについて、実際に1年以内に終わったプロジェクトがたった11%しかなかったというアンケートの話から始まり、ゲーム開発に限らずあらゆる業界で同じ事象が起こっているのだと著書では語られている。
読む前は悲観的な本なのかな?とか、読んでいる途中はあとから失敗を揶揄してばかりの嫌な著者だなと思ったりもした。
読後は、予測は大概外れるという現実を受け入れつつ、十分な予算(ゲーム開発者であれば時間)を考慮したり、計画段階で徹底的にシミュレーションしてみることが大事なんだと思えるようになった。
noteの記事を書いた方が触れていなかったが、個人的にいいなと思ったことがある。
・予測を立てる段階で類似したプロジェクトに関するデータを参照したり、同じようなプロジェクトの経験がある人に聞いてみること。
特に前者はCRF法と言われるプロジェクトのコストを計測するための優良な手法らしい。
まあ、そうは言っても個人ゲーム開発者は孤独だ。
こういった情報を集めることは簡単ではない。
また、個人ゲーム開発者のモチベーションは未知なるゲームへのワクワクが起因となることが多い。
なので、そこへ真っ向から水を差しにくる著書は、駆け出しの個人ゲーム開発者にとっては非常に受け入れ難いものだと感じた。
実際、10年前にこの記事が話題になったとしても私は見向きもしなかっただろう。
・「私がこれまでやってきたことと同じくらいかそれ以上にやらなかったことに誇りを持っている」というジョブズの言葉。
個人ゲーム開発では思いついたことをあれやこれやと追加してしまいがち。それがそのゲームにとって本当に必要なことなのかということを常に考える必要がある。
目指した結果にとって最良の方法でなければ意味がないし、同時に貴重な時間を失うことになる。
著書では右から左に考えることを推奨している。これは、タスクを考える際に、右側に最も達成すべき目的を書き、左側にその目的を達成するタスクを書いていくというものだ。
必要な機能を洗い出して、そこに必要なタスクを書き出すというのが一般的なタスク管理の手法だが、そもそもその必要な機能とは本当に必要なのかということを常に気を配ることが重要と述べている。
私もしばしばゲームを開発していく中でこれを追加したら面白そうとか、これぐらいの追加ならそれほど時間はかからないだろうと楽観的にタスクを追加してしまうことが多かった。こういったことの積み重ねが終わらないプロジェクトの誕生を促しているのだろう。
あまり言及されなかったがピクサープランニングについてもっと知りたいと思った。
ラフで動画を作ってそれが面白いかを検証するという手法だ。
社員で鑑賞会を行い、そこで分かりにくかった点や面白くなかった点を洗い出してブラッシュアップしていくのだ。
それも大抵9回は行うという。
こうすることで実行段階より前の段階で破綻することを防ぎ、よりクオリティの高い作品に仕上げることができるとのこと。
しかし、潤沢な予算と時間が当たられているからこそできることだ。インディーゲーム開発者は金も時間もないのでこの手法を実践することは困難だ。
ともするとインディーゲーム開発というのは狂気の沙汰なのだかろうか。
概ねイYESだろう。理で考えればインディーゲーム開発はその辺の感覚がぶっ飛んでなければやれないことを肌で感じている。
この著書から多くのことを学んだ一方で狂気じみた情熱を持ってこらからも挑み続けることは変わらなかった。
そんなオチ。